B. Biskup, “On Legal Artifacts” 翻訳

訳:吉原雅人

文献情報
Biskup, Bartosz. 2026. “On Legal Artifacts”. Journal of Social Ontology 12 (1). Vienna, Austria:26-51. https://doi.org/10.25365/jso-2026-9538.

概要:本論文では、婚姻のような法制度を含む規約化された社会種が、機能実現による(機能主義的見解)のではなく、集団的承認を通じて作動していると論じる。私は、法律種が、関連するコミュニティによる集団的承認を通じて構築されるとする「構築主義的見解」を提案する。本論文で導入する中心的概念は「社会的改訂(Social Amendment)」である。これは、関連するコミュニティが、新たな存在を既存の社会種に属するものとして集団的に承認し、それによって機能的制約なしに、その種の成員資格を拡張するプロセスをいう。さらに私は、社会種が規約化の程度に応じたスペクトラム上に存在することを示す。その諸性質は、因果メカニズムによって結びつけられている場合もあれば(実在する社会種)、規約的な取り決めによって結びつけられている場合もある(規約化された社会種)。法的人工物は、集団的承認によって種への帰属が決定される、厳格に規約化された種の典型例である。私は、婚姻を例として用いることで、この枠組みが法律種をめぐる機能に基づくアプローチと承認に基づくアプローチとの緊張関係をいかに解消するかを示す。構築主義的見解は、法の人工物説と社会存在論を架橋し、規約化された社会種という概念を通じて、両者が収斂することを明らかにする。このアプローチは、種の構築に関するトークン先行型理論と整合的であり、法制度が機能的適応ではなく集団的承認を通じて進化することを示すと同時に、既存の社会存在論的説明とも両立可能であることを示す。

キーワード:社会種、法律種、人工物、規約主義、社会的構築主義

1. 序論

法哲学者のあいだでは、法の本性を人工物理論の観点から分析できるという見解について、次第に合意が形成されつつある(Burazin 2015, 2016, 2018; Crowe 2014, 2019, 2022; Ehrenberg 2016, 2022; Roversi 2018, 2021, 2023)。技術的人工物に関する有力な理論のなかには、ある人工物の機能という顕著な側面を強調するものがある。したがって、法哲学者たちが、ある現象が法であるのか、それとも法ではないのかを識別する基準として、法の機能に焦点を当ててきたことは驚くことではない。たとえば、Jonathan Crowe は、法の機能とは義務論的指標(deontic marker)を提供することだと考えている。すなわち、法であるということは、可能な行為を禁止されているもの、許容されているもの、あるいは義務づけられているものとして指示することである(Crowe 2014, 2019, 2022)。有望に思われるとはいえ、この説明には数多くの反論が向けられている(Atiq 2020, Tamanaha 2022, Roversi 2019)。その一つは、法を、ゲーム、エチケット、道徳といった他の規範的現象から区別できないという問題である(Garcia-Godinez 2022)。法の固有機能――ある現象が「法」という種に属すると言えるものにする機能――は、そもそもそのようなものを見出すことが可能であるとしても、おそらくまだ発見されていない。もっとも、Crowe は、機能は法の種への成員資格を決定するのに役立つ諸要素の一つにすぎず、その分析を補完するためには法概念が必要になる、と主張することができるかもしれない(法=機能+概念)。

本論文で私は、人工物理論を、最も一般的な意味での法(Ehrenberg 2016, Crowe 2019)、リーガリティや法システム(Burazin 2015, 2016)ではなく、法によって創造される存在である法的人工物(Roversi 2023: artefatti giuridici)に適用することを目指す。法的人工物の例としては、法制度(法人格、婚姻、契約)、法的公務員(裁判官、クラーク)、さらにはより日常的な意味で、厳密に物質的な法的人工物(法文)などが挙げられる。これらの法的人工物はその社会的機能によって定義されると主張する者がいる一方で、そのアイデンティティは集団的承認のみによって決定されると論じる者もいる。

本論文では、法的人工物に関する機能主義的見解について検討する。この見解は、種には、その同定にとって十分ではないにせよ決定的な機能が存在し、また、ある法的人工物 x が種 X に属するためには承認されなければならない、と想定する。私は、この機能主義的見解は、いわゆる規約化された社会種を扱うことができるよう再検討されるべきだと論じる。この修正が成功すれば、さらに、人工物理論と古典的な社会存在論的分析とのあいだに収斂が存在することも示されるだろう。これは Corrado Roversi が、「人工物理論は、社会存在論的説明を特殊化するものとみなすことができる」と述べることで示唆した見解である(Roversi 2019, 41–42)。

しかし、Crowe によれば、「この見解では、集団的受容は、適切な現象を人工物種の成員へと変えることができる。しかし、何であれ任意のものをある種の成員にすることができるわけではない」(Crowe 2019, 166–167)。この最後の主張は、法的人工物に適用される規約主義には何らかの限界があることを示唆している。Francesco Guala(2016)にならい、私はこの種の問題を「カリグラ問題」と呼ぶ。

しかし、以下で論じるように、カリグラ問題は、典型例が法律種、すなわち法的人工物の種であるような、いわゆる規約化された社会種を適切に捉えられていない。本論文で検討する法的人工物の種の例として、婚姻という法制度を用いる。私は、法律種、すなわち法的人工物の場合には、当該の種を統一する機能は存在しないと論じる。そして、種を決定するためには機能が必要であるという条件を除去することによって機能主義的見解を再検討し、それに代わる説明として構築主義的見解を提案する。

本論文の構成は以下のとおりである。第2節では、種、タイプ、トークンを区別することによって用語法上の枠組みを明確にする。これらは、法的人工物がどのように分類されるのかを理解するうえで中心的な概念である。第3節では、法的人工物に関する機能主義的見解を紹介する。まず Ehrenberg によって展開された機能的アプローチを検討し(第3.1節)、次に Crowe の意図-受容理論を検討する(第3.2節)。そのうえで、両者に共通するコミットメントを、機能と集団的承認に関する二つの中核的テーゼとして総合する(第3.3節)。第4節では、規約化された社会種の理論的基礎を展開する。第4.1節では、社会種がスペクトラム上に存在し、その諸性質が、因果メカニズムによって結びつけられている場合(実在する社会種)と、規約的な取り決めによって結びつけられている場合(規約化された社会種)があることを示す。第4.2節では、本論文の中心的概念である「社会的改訂(Social Amendment)」を導入する。これは、関連するコミュニティが、新たな存在を既存の社会種に属するものとして集団的に承認し、それによって機能的制約なしに、その種の成員資格を拡張するプロセスである。第5節では、社会的改訂に対する潜在的な反論としてカリグラ問題を取り上げ、この問題は実在する社会種と規約化された社会種との決定的な区別を捉え損なっていると論じる。そして、社会的改訂が実践的・社会的制約のもとでいかに作動するのかを示す。第6節では構築主義的見解を提示する。まず、異なるコミュニティがどのように規約化された種を構築し、維持するのかを検討し(第6.1節)、次いで、この枠組みをより広範な社会存在論的説明のなかに位置づけ、既存の制度理論と両立可能であることを示す(第6.2節)。第7節では本論文を締めくくる。

以下、随時更新

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